●上三河の農村歌舞伎舞台竣工式

先日、弟子の親父さまが急にご逝去されたとの訃報を聞き石川県までお線香手向けに上がってきました。
翌日私事にて新潟まで足を運んできました。
いまだ至る所に雪が残り、米処新潟の田には播州地方では目にすることのない白鳥が飛来し羽を休めています。
駅にて「この地にしか見学できないところはありますか?」と昔、東北美人であっただろうと思われる(失礼)初老のおばあさんにお訪ねすると
「そりゃぁ、伊藤さまの家に行けばいい。有難いお家だから。」あまりにもおばあさんの笑顔がありがたそうだったで、新潟駅から車で30分
田園地帯の真ん中にそびえ立つ 伊藤家 北方文化博物館に見学に上がりました。
博物館の内容は、上記よりリンク北方文化博物館ホームページご覧ください。
入り口で入場券を買い、丁度昼を過ぎようとしてたので園内のそば屋で十割そばに舌鼓してた時でした。
隣のおじいさんが、「あなたはどこからこられたのですか?」と聞かれ、諸事情をお話してますと急に「わかりました。今からこの家を案内して上げます。
それから、普通は入れない特別な部屋もご案内します」
よくよくお聞きしてますと、この家の当主 伊藤文吉さんでした。そして伊藤さんは名の知れた財団の館長でもあります。
豪商 伊藤家 日本で指折りの庄屋です。
当主伊藤さま(この地では伊藤さまと呼ばれているみたいです)からこんな温かいお話を聞かせていただきました。
30m梁を使ってる事について。
「お金があるとはね、人に分け与えるとかばらまくとか寄付するとかそれは本当の意味で金持ちとは言えないんです。
例えばこの梁、長い梁です。実は、新潟の山から切り出したんじゃない、福島の山からわざわざ切りだして筏で川を下りこの地に運んだんです。」
「それはなぜかわかりますか? 福島に居る山師や大工に関わらす事で雇用を作り出したんです。一人の山師(木を切る職人)を呼ぶと家族が付いてくる。
一人に最低3人はやってくる。次は家族の仕事を探す、煮炊きや人夫、はたまた職人見習いまでいろいろと生活が出来るようになる。
これがね、財を持つ人がやる大切な仕事なんです。今のお金持ちさんは、皆名誉とか地位とか引っかかって駄目ですね(笑)」
それから続けて伊藤さまは云われました。
「宮大工さんはいい仕事です。この時代厳しいでしょ?でもね、絶対に忘れてはいけないことがあります。それは、本物を残すことです。
本物とは、神仏に逆らわない仕事です。大変ですが一人ぐらいこれを守る人が居てもいいと思います。どうか頑張って下さい。」
有難いお話でした・・。
粉雪舞い散る寒空の中、よき出会いに巡り合えた私は幸せ者です。
伊藤さま本当に有難うございました。
兵庫県佐用郡佐用町上三河 で進めて参りました農村舞台修復工事が完了いたしました。
完成を記念し来る3月25日午前10時より舞台にて子供歌舞伎がお披露目されます。
皆様、是非お越し下さいませ。
詳しくは佐用町ホームページより
今朝の神戸新聞正平調に弊社専務 西嶋宣久が載りました。
2月20日神戸新聞朝刊より
八角柱の心木(しんぎ)が頭上の回り舞台をしっかりと支えていた。直径48センチ、高さ1・6メートル。奈落の中で真新しい木肌が見えている◆兵庫県佐用町にある上三河の農村舞台は、国指定の重要有形民俗文化財だ。1841(天保(てんぽう)12)年に建てられ、明治期に現在地へ移築された。旅回りの一座の芝居が、かつては盛んに上演された◆芝居を効果的に見せるための工夫が、舞台に凝らされている。直径31センチの木車24個が回り舞台を回転させると、背景が一転する。屋根裏から中二階をつり下げると、上と下とで芝居ができる。中二階が回り舞台と反対方向に回転する構造は、全国でも極めてまれだ◆近年はシロアリに食われて建物が傾き、回り舞台も動きにくくなっていた。中心で支える心木が腐っていたため、岡山・蒜山の松に取り換えられた。耐震化を含めた大改修が115年ぶりに進む◆工事を担当するのは、全国で文化財の補修などを手がける上三河出身の西嶋宣久(のりひさ)さん(49)。農村舞台は子どものころの遊び場でもあった。父親の勉さんも32年前にかやぶき屋根などを改修した。親子2代で携わることになり、感慨深そうだ◆先人のすばらしい発想と仕事ぶりを見た西嶋さんは「後世に引き継がなくてはならないふるさとの財産」と語る。工事は今月末に完成する。こけら落としの3月25日には、地元の子ども歌舞伎が晴れの舞台を飾る。地域の宝が未来へ引き継がれていく。
東京都八王子市出身 岩本 剛 君 この度、目出度く親方から宮大工大都流の法被を授与されました。
これにて岩本剛は棟梁の称号を得ました。
剛は、八王子の高校を卒業後すぐさま弟子入りの許しを得る為何度も日参し、やっとの思いで許可を頂きこの厳しい宮大工の道に入りました。
昨年より卒業試験である墨付けを任され伝統工法により見事完成いたしました。
法被授与式は親方の家にて仏前法要ー授与式ー先代墓前報告法要ー直会 と厳粛に執り行われます。
先代奥様も立ち会われますが、感心したのは終始足を崩さず、箸の上げ下ろしから乱れなく作法を行えるようになった事は
この四年間如何に本人の修行への取り組みが間違ってなかったかと証明できるようだと喜んでくれてました。
法被の裏地は本人が自分で購入し好きなものを先代奥様が縫いつけます。
お題は{唐獅子}でした。
法被に 流派当主より 匠明 の書きつけが添えられいよいよ剛はこれから大都流の修行へ入って行きます。
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