新潟 北方文化博物館

-
2012/3/23 金曜日 西嶋工務店より / カテゴリ : 堂宮大工のつれづれ草

先日、弟子の親父さまが急にご逝去されたとの訃報を聞き石川県までお線香手向けに上がってきました。

翌日私事にて新潟まで足を運んできました。

いまだ至る所に雪が残り、米処新潟の田には播州地方では目にすることのない白鳥が飛来し羽を休めています。

駅にて「この地にしか見学できないところはありますか?」と昔、東北美人であっただろうと思われる(失礼)初老のおばあさんにお訪ねすると

「そりゃぁ、伊藤さまの家に行けばいい。有難いお家だから。」あまりにもおばあさんの笑顔がありがたそうだったで、新潟駅から車で30分

田園地帯の真ん中にそびえ立つ 伊藤家 北方文化博物館に見学に上がりました。

博物館の内容は、上記よりリンク北方文化博物館ホームページご覧ください。

入り口で入場券を買い、丁度昼を過ぎようとしてたので園内のそば屋で十割そばに舌鼓してた時でした。
隣のおじいさんが、「あなたはどこからこられたのですか?」と聞かれ、諸事情をお話してますと急に「わかりました。今からこの家を案内して上げます。
それから、普通は入れない特別な部屋もご案内します」
よくよくお聞きしてますと、この家の当主 伊藤文吉さんでした。そして伊藤さんは名の知れた財団の館長でもあります。

30mの一本梁、1間仏壇、古美術の数々・・・と、それはもう素晴らしい内容でした。

豪商 伊藤家 日本で指折りの庄屋です。
当主伊藤さま(この地では伊藤さまと呼ばれているみたいです)からこんな温かいお話を聞かせていただきました。

30m梁を使ってる事について。
「お金があるとはね、人に分け与えるとかばらまくとか寄付するとかそれは本当の意味で金持ちとは言えないんです。
例えばこの梁、長い梁です。実は、新潟の山から切り出したんじゃない、福島の山からわざわざ切りだして筏で川を下りこの地に運んだんです。」

「それはなぜかわかりますか? 福島に居る山師や大工に関わらす事で雇用を作り出したんです。一人の山師(木を切る職人)を呼ぶと家族が付いてくる。
一人に最低3人はやってくる。次は家族の仕事を探す、煮炊きや人夫、はたまた職人見習いまでいろいろと生活が出来るようになる。
これがね、財を持つ人がやる大切な仕事なんです。今のお金持ちさんは、皆名誉とか地位とか引っかかって駄目ですね(笑)」

それから続けて伊藤さまは云われました。
「宮大工さんはいい仕事です。この時代厳しいでしょ?でもね、絶対に忘れてはいけないことがあります。それは、本物を残すことです。
本物とは、神仏に逆らわない仕事です。大変ですが一人ぐらいこれを守る人が居てもいいと思います。どうか頑張って下さい。」

有難いお話でした・・。

粉雪舞い散る寒空の中、よき出会いに巡り合えた私は幸せ者です。

伊藤さま本当に有難うございました。

2012.3.22.012012.3.22.03DSC_0031

Copyright (c) 2007. 株式会社 西嶋工務店