年明け早々少し愚痴です・・お聞きください。
仕事の出張関係でよく利用するホテルがあります。
近年そのホテルがリニューアルをされ新しく生まれ変わったと聞いて早速予約し利用させていただきました。
メインは入浴設備を完備された事です。
大浴場にサウナ、炭酸温泉に水風呂・・それは素晴らしい設計の元申し分のない改装でした。
ところが、ゆっくりと湯船に浸かっていますとなにかしら落ち着かないんですね。。
デザインも湯加減も一切問題ない。 おかしいなぁとふとあることに気が付きました。
香りです。と言うか匂いです。
どこから発生しているかというと日本調に仕上げられた屋根や格子、浴槽を包む枠の木材に原因がありました。
それは全て外国産の檜です。
節も無く材としては最高級に見える檜です。
この材が鼻をつく匂いの元でした。
長風呂してますとだんだんと頭が痛くなるような感があります。
近頃、私達の社寺建築の業界でも同様にしてこの様な材が使用されることが多々あります。
無論私達も使用したこともあります。
でもこれは材が入手しにくい事や高価な事、工期の短縮による原因もあります。
もう一つは大工として設計屋として不勉強で扱いにくいという点もあるでしょう。
日本人には匂いと香りは大きな違いがあり大切な文化です。
節の問題よりもなぜお伊勢さんは檜を使われてきたのか、はたまた高野山に高野槇が植えられたのか
福井では杉普請が主流で山陰では松普請、私達の地域 播州ではトガ普請が最高と伝えられてきたのか。
それぞれに因果があります。
話は逸れますが昨年京都の有名料亭で責任者されていた板前さんが念願の小料理屋をオープンされました。
その際に、カウンターを檜の一枚板で納めたいとの事で微力ながら協力させていただきました。
大将に聞くと「今でもとてもいい香りがします!お客さんがみんな撫でてくれてなぜか安心すると言ってくれてます。」
ここの大将も毎日牛乳でカウンターを拭き上げる御人ですから変わっていると言えば変わってますが・・。
まぁ頑固ですが美味しいです。一度皆さん冷やかしにお立ち寄りください(一応宣伝もしときます。)
京都二条 葵月
私達宮大工は間違った情報や仕事を残すわけにはいきません。
それは人の命に関わるからです。
神仏の仕事とは厳しいものだとこのホテル様に教えていただきました。
当主 拝