質実剛健を貫いた男

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2017/6/23 金曜日 西嶋工務店より / カテゴリ : 堂宮大工のつれづれ草

その名を春名敏弥と申します。

(株)西嶋工務店は、先代西嶋勉親方が昭和25年兵庫県佐用郡佐用町(旧 南光町)にて西嶋組として立ち上げられました。
その後、姫路にて社寺建築を専門にする大工技術集団となり御縁を頂き今日の会社となっております。

春名敏弥はこの創業当時から先代と苦楽を共にし、厳しい世の中を親方への一心不乱な信心をもって付いてきて頂きました。

本日退社です。

春名敏弥78歳。
15歳で大阪の有名な左官組に入り18歳で西嶋へ。左官の組では若頭(番頭)まで勤め上げ数百人の頂点になる。
その後、西嶋にて左官と鳶、土木を専門にし、「敏弥が抜けた現場は5人入れろ!」と言われるほど賢く技術能力高く
その上、人に対して驕らず優しい人でした。
在職60年は弊社の最長です。

私が弟子入りした時、先代から「敏弥について荒壁付けてこい!」と言われた事があります。
当時は機械もなく全て人力で土を練りさしあげて荒壁をつける工法でした。
毎日毎日本堂を二人だけでつける作業です。
休憩もそこそこに直ぐ立ち上がり仕事を続けます。

1週間ほど経ったある日、「身体がもうついていけません!休ませて下さい!」と申し出ると敏弥し笑いながら言いました。
「ええぞ。ベッドがあるじゃろ?そこでゆっくり寝とけ。。」
よく見ると荒壁の土です(笑)

靖尚、ええか大切なことはな~頑張ることやない。続けることや。これ以上も以下も無い。

数々の名刹寺院文化財住宅全てにおいて春名敏弥は係わってきました。

そして沢山の兄弟弟子を育ててくれました。

長きに渡り本当に有難うございました。

 

宮大工 大都流32代当主

西嶋 靖尚 鳳雲 九拝

2017.6.23.022017.6.23.03

~昭和40年頃出石城隅櫓建前にて~

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