●記事掲載
今朝の神戸新聞正平調に弊社専務 西嶋宣久が載りました。
2月20日神戸新聞朝刊より
八角柱の心木(しんぎ)が頭上の回り舞台をしっかりと支えていた。直径48センチ、高さ1・6メートル。奈落の中で真新しい木肌が見えている◆兵庫県佐用町にある上三河の農村舞台は、国指定の重要有形民俗文化財だ。1841(天保(てんぽう)12)年に建てられ、明治期に現在地へ移築された。旅回りの一座の芝居が、かつては盛んに上演された◆芝居を効果的に見せるための工夫が、舞台に凝らされている。直径31センチの木車24個が回り舞台を回転させると、背景が一転する。屋根裏から中二階をつり下げると、上と下とで芝居ができる。中二階が回り舞台と反対方向に回転する構造は、全国でも極めてまれだ◆近年はシロアリに食われて建物が傾き、回り舞台も動きにくくなっていた。中心で支える心木が腐っていたため、岡山・蒜山の松に取り換えられた。耐震化を含めた大改修が115年ぶりに進む◆工事を担当するのは、全国で文化財の補修などを手がける上三河出身の西嶋宣久(のりひさ)さん(49)。農村舞台は子どものころの遊び場でもあった。父親の勉さんも32年前にかやぶき屋根などを改修した。親子2代で携わることになり、感慨深そうだ◆先人のすばらしい発想と仕事ぶりを見た西嶋さんは「後世に引き継がなくてはならないふるさとの財産」と語る。工事は今月末に完成する。こけら落としの3月25日には、地元の子ども歌舞伎が晴れの舞台を飾る。地域の宝が未来へ引き継がれていく。